熱海市宿泊税システム導入事例

東京コンピュータサービスによる実務的なシステム構築と運用支援

Chapter 01

宿泊税導入の背景と課題

静岡県熱海市では、観光資源の魅力向上や地域社会の発展を目的として、2025年4月より新たに宿泊税を導入することを決定しました。従来から入湯税を課税してきた熱海市ですが、宿泊税の新設にあたり、既存の税制との整合性や運用方法、そしてそれを支えるシステムの構築が大きな課題となりました。

特に、庁内では「課税をどのように開始・運用するか」「それを支えるシステムをどう構築するか」という悩みが共通認識として存在していました。既存の基幹系ベンダーは標準化対応の制約から新税対応が困難であり、システム選定の選択肢が限られていたことも課題の一つでした。

 

また、庁内の観光部局やDMO(熱海観光局)からは、迅速かつ適切な観光関連データの提供要請が定期的に発生していましたが、入湯税では月次延べ人数のみの把握にとどまり、日次動向の把握には限界がありました。さらに、宿泊税の業務追加に対して職員増が見込めず、既存人員で運用する必要がありました。紙書類の目視確認や手入力が負担となり、窓口・郵送・eLTAXなど多経路申告に起因する「印刷して手入力」などの非効率が顕在化していました。添付の日計表はPDF提出が多く、Excel取込前提の運用と整合せず現場負担の要因となっていました。これらの課題を解決するため、熱海市は新たなシステム導入の検討を開始しました。

Chapter 02

東京コンピュータサービス選定の決め手

熱海市が宿泊税導入にあたりシステムベンダー選定で重視したのは、税務法令とシステム仕様の共通理解を築けるかどうか、そして現場課題に即した提案力と対応力でした。

一般的なITベンダーでは税務知識の蓄積が十分でないことや、既存基幹ベンダーが新税対応不可であることが懸念材料となっていました。弊社は、宿泊税に「実際に対応できる」ことを熱海市に具体的に示し、迅速な対応を継続していた点を高く評価されました。

また、熱海市から選定理由を次のようにいただきました。「庁内のDX推進室経由でPC導入等の実績・信頼性が把握でき、税務・観光の両面を理解した専任SE/営業が現場課題に即した提案を行ったことも選定理由の一つです。他ベンダーが標準化対応で多忙の中、現実的に導入を進められるのが東京コンピュータサービスのみであった事実も大きな決め手となりました。契約は随意契約で、具体的な技術・対応力・導入実績を根拠としたものです。」

こうした背景から、熱海市より宿泊税システムの構築を依頼され受託いたしました。

Chapter 03

システム導入プロセスと工夫

弊社はシステム導入にあたり、熱海市で稼働中である入湯税システムに、宿泊税システムの画面・帳票・業務フローを可能な限り近づけることで、庁内運用の一貫性を確保しました。加えて、観光部局・DMOの記者会見用資料(人員・来訪者数等)を迅速に提供できるよう、帳票設計と集計ロジックを重視し、日次・施設別の動態を扱えるデータ構造を整備しました。

また、運用テンプレート(申告・督促・不足書類対応等)を見定め、「日計表のExcel取込機能」をはじめとする入力利便性を段階的に改善するなど、市担当職員の負担軽減の工夫を重ねました。

 

一方で熱海市は、ゼロから宿泊税システムを構築する経験が庁内に乏しく、帳票印刷→事業者発送→申告受付→納付管理の一連の流れを税務概念と紐付けて再現性ある業務システムに落とすまで時間と労力を要しました。

 

弊社では宿泊税システムの構築にあたり、データ移送・取込のシームレス化に取り組み、帳票様式やPDF添付など、現場実務における多様な運用への対応も並行して行いました。

導入時には、熱海市と月1回の定例ミーティングを継続し、要望や税務上の考え方の違いについて、迅速かつ丁寧にすり合わせを実施いたしました。

また、緊急時の現地対応や条例に基づく仕様策定を熱海市と共同で進め、庁内仕様の見直しや改善点を共有しました。あわせて、統計指標の設計支援や調定起票に直結する入力画面の視認性向上、個別調整への柔軟かつ迅速な対応についても評価をいただいています。

Chapter 04

導入効果と社会的反響

熱海市から宿泊税システム導入後の評価と、どのような反響があったかを次のように語っていただきました。「月次申告・納入をシステム上で確実に管理し、適切な課税運用を実現しました。入湯税との整合性を保ちながら、当初構想どおりの運用形態を具現化しています。日計表提出が標準化され、特定日ごとの宿泊者数を把握可能となり、観光部局への高精度なデータ提供により、年間を通じたイベント(例:花火大会日程)などの意思決定を支援しています。入力画面の視認性向上と「日計表→調定まで一気通貫」の運用により、日次大量入力でも現場負担が平準化され、庁内のデータ連携と施策立案のスピードが向上しました。宿泊税システムの導入後は、全国から「どのベンダーを使っているか」「契約方法(随意契約)とその理由」等の問い合わせが多数寄せられ、宿泊税のシステム化に関心のある自治体から情報収集・相談の動きが見られています。

他自治体とは具体的な情報交換・紹介も進み、事例共有の輪が広がり、社会的反響も大きくなっています。」

今後の展望と期待

熱海市では宿泊税と入湯税のデータ連携をさらに強化し、観光統計・税務統計の精度を高めることで政策立案への活用範囲を今後拡大する方針です。eLTAX連携の非ペーパーレス化やPDF添付の自動取込など、さらなる効率化余地も認識し、費用対効果を見極めながら段階的最適化を検討されています。

また弊社へは、記者会見や庁内会議で用いる帳票の更なる拡充、部署間の情報共有の高度化、税務法令の改正や運用変更に伴う仕様見直しを引き続き伴走型でサポートしてほしいという要望が寄せられています。

弊社は、Excel取込や電子申告データのシームレス化や月次大量処理の省力化によるさらなる業務効率化を実現するべく、AI-OCRやRPAの積極活用を検討しております。

 

弊社は熱海市に対し、観光部局やDMO向けの資料提供機能(帳票調整・拡充)強化や運用テンプレート(督促・不足書類通知等)の整備支援、税率改正への柔軟対応、AI-OCR/RPAの費用対効果が成立する運用モデルの提示などの現場運用に即した伴走支援を実施いたします。

さらに、統計指標の拡張やダッシュボードの高度化などの機能強化を検討しています。

静岡県熱海市

熱海市は古くから温泉保養地として知られ、首都圏からのアクセスが良いことも特徴です。

市内には温泉のほか、海岸、観光施設、文化施設があり、観光と暮らしの両面で魅力があります。近年は移住先としても注目されています。

所在地 静岡県熱海市

Webサイトhttps://www.city.atami.lg.jp/